大航海時代の「地獄の船飯」を解説!
海賊といえば
- 宝探し
- ラム酒
- 財宝
- 大砲
- カリブ海
……そんなド派手で豪華なロマンを思い浮かべる人も多いでしょう。ところがどっこい実際の海賊生活はかなり過酷でした。特に問題だったのが――「食事」です。冷蔵庫もなければ、真空パックもない時代。しかも何か月も海の上。今回は 大航海時代の海賊たちが何を食べていたのかを紹介していきたいと思います。
海賊の主食「ハードタック」
海賊や船乗りの代表的食料がハードタック(hardtack)です。これは小麦粉・水・塩だけで作る超硬い乾パン。保存性が高く、長期航海でも腐りにくいものでした。しかし問題は―とにかく硬い。あまりに硬いためにハンマーでたたいて割る。あるいは水、スープ、酒に浸して食べることも多かったといいます。。さらに長期間保存すると
- 虫
- カビ
- ネズミ被害
も発生しました。このためやはりハンマーなどでハードタックを叩いて虫など追い出してから食べたそうです。「ロマンある海賊飯」というより、かなりのサバイバル食ですね。

肉は「塩漬け」
船では新鮮な肉を保存できない。そこで使われたのが、塩漬け肉でした。特に
- 牛肉
- 豚肉
がよく使われたそうです。大量の塩で保存するため長持ちはするが、当然かなり塩辛い。しかも長期航海では腐敗することもあり、船乗りたちは臭い肉を食べざるを得ないこともありました。
海賊を支えた「保存食」
大航海時代の船で最重要だったのは、「腐らせずに運べるか」です。そのため海賊船では様々な保存食が使われました。
干物・燻製
魚や肉を乾燥させたり、煙で燻して保存した。特に燻製肉は長持ちし、カリブ海では重要な食料ででした。海賊を意味する「バッカニア(buccaneer)」(ニキュニキュ、、、?)は、燻製肉を作る猟師「boucanier」が語源になったとも言われるほどです。
チーズ
硬いチーズは比較的保存が効いたため、船に積み込まれることがあったようです。ただし湿気や暑さで腐敗することもあり、長期航海では品質維持が難しかった。
豆類
乾燥豆は保存性が高く、スープにして食べられた。特に
- エンドウ豆
- インゲン豆
などが利用された。豆は腹持ちが良く、貴重な栄養源でした。
魚ばかり食べていたわけではない
「海の上なら魚食べ放題では?」と思うかもしれません。しかし実際には、漁だけで船員全員を養うのは難しかった。そのため基本は積み込んだ保存食で生活していました。もちろん
- 魚
- ウミガメ
- イルカ
などを捕まえることもあったようですが。特にウミガメは貴重な生鮮食料だったようです
酢
意外だが酢も重要だった。水の臭いをごまかしたり、食料保存に利用されたのです。この時代だけでなくローマ時代でも飲み水に使われていたそうです。
なぜ海賊は酒ばかり飲んでいたのか?
海賊のイメージに欠かせないのがラム酒やビールではないでしょうか。酒をのんで宴会。毎日酔っ払いの宴。実はこれには理由があったのです。当時の船では、真水が腐敗しやすかった。木樽に長期間入れておくため藻、雑菌、異臭などが発生することがあったといいます。そこで比較的保存しやすい
- ビール
- ワイン
- ラム酒
などが重要になった。特にカリブ海ではサトウキビ栽培が盛んで、ラム酒文化が広まっていったようです。
実は「ヨーロッパ全体」の飲み水事情だった
海賊や船乗りが「ラム酒やビールばかり飲んでいた」という話を聞くと、「海の上だけ特別だったのでは?」と思う人も多いでしょう。しかし実際には、中世〜近世ヨーロッパでは、酒を日常的に飲むこと自体が珍しくなかった。なぜか?
水は必ずしも安全ではなかった
当時のヨーロッパでは
- 井戸
- 川
- 貯水
などが生活用水だった。しかし都市部では、汚物、家畜、排水によって水質が悪化することも多かったのです。もちろん、「ヨーロッパ人は水を飲まなかった」というのは誇張だが、安全性や保存性の問題から
- ビール
- エール
- ワイン
などを日常的に飲む文化が広がってきました。
「小ビール」という存在
特に有名なのが、スモールビール(small beer)です。鳩用の小さいビール?いえいえ違います。これはアルコール度数がかなり低いビールのことでで
- 子供
- 労働者
- 船員
なども飲んでました。現代の強いビールというより、「保存性のある飲み物」に近い存在でした。

なぜ酒のほうが安心だったのか?
ビールやワインは醸造工程を経ます。そのため、腐敗しやすい水より比較的安全だと考えられていました。特に船では、木樽の水が長期間で腐敗し、悪臭、藻、細菌などの問題が起きました。そのため船乗りたちは
- ビール
- ワイン
- ラム酒
を重要な飲料として扱っていたのです。
ただし「水を飲まなかった」は誤解
最近では研究が進み、「中世ヨーロッパ人は全く水を飲まなかった」という説は否定されつつある。実際には
- 井戸水
- 湧き水
- 川の上流
など、安全な水源も利用されていた。つまり、水も飲むが酒も飲むというのが実態に近い。
海賊たちにとっての酒
それでも海賊や船員にとって酒は特別でした。理由は
- 長期保存しやすい
- 士気向上
- カロリー補給
- 水の臭いをごまかせる
など。特にカリブ海ではラム酒文化が発展し、「海賊=ラム」のイメージが定着していったようです。
海の恐怖「壊血病」
海賊といえば華やかな戦闘での死をイメージする方も多いと思いますが、死因はこれだけではありません。大航海時代最大級の問題が、壊血病(かいけつびょう)でした。長期間野菜や果物を食べられないため、ビタミンC不足になるのです。症状はかなり恐ろしく
- 歯が抜ける
- 出血
- 傷が治らない
- 衰弱
などが起きました。壊血病で血だらけの船員たち。まさに地獄絵図。この病気によって、戦闘ではなく栄養不足で命を落とす船員も多かったのです。後にイギリス海軍がレモンやライムを導入したことで、壊血病対策が進んでいきますが、この時代はまだそこまで食事や病気に対する理解が進んでおりませんでした。
しかし港に着くと豪遊!
海上では地獄のような食事でも、港では一転して豪華になる。海賊たちは略奪で得た金を使い
- 肉料理
- 酒
- 果物
- パイ
- 香辛料料理
などを楽しみました。海賊には「明日死ぬかもしれない」という感覚が強く、金を貯め込まず豪遊する者も多かったと言われています。ここに関してはうらやましいですね。過酷な船上でのサバイバル生活に目をつむることができれば、ですが。
まとめ
大航海時代の海賊の食事は、ロマンというより「保存との戦い」だった。
- 硬すぎる乾パン
- 塩辛い肉
- 腐る水
- 壊血病
- 保存食頼りの生活
など、過酷な環境の中で彼らは生きていたのである。映画では陽気にラム酒を飲む海賊たちも、実際には――「野菜を食べたい……」と本気で思っていたのかもしれない。
参考
- Wikipedia 「ハードタック」「壊血病」「ラム酒」「海賊」「燻製」「塩漬け」「スモールビール」「エール」「中世の水事情」

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