海賊といえば、荒くれ男たちが酒を飲みながら暴れるイメージがあります。しかし18世紀のカリブ海には、そんな世界で暴れ回った実在の女性海賊がいました。その名はアン・ボニー。短い活動期間ながら、その破天荒すぎる人生は今でも語り草になっています。私の中で。人生のイベントが毎章指名手配的な奇妙な女性の物語です。
気性がめちゃくちゃ荒い
アン・ボニーについてよく語られるのが、その激しい気性です。
『海賊列伝』では、アンが若いころから非常に気性の激しい女性だったことが強調されています。家の中のもめごと、使用人への暴力、あるいはナイフで相手を傷つけたというような話まで伝えられています。もちろん、こうした逸話は後世の海賊本らしい誇張が混ざっている可能性があります。アンを「普通の女性ではない」「海賊になるだけの荒々しさを持っていた人物」として描くために、話が盛られた可能性もあります。
ただし、少なくとも同時代に近い海賊伝承の中で、アンは「おとなしい令嬢」ではなく、「気性が荒く、自分の意思を押し通す女性」として描かれていたことは確かです。海賊になる前から、だいぶ海賊適性が高い。
海賊との恋
やがてアンは、ジェームズ・ボニーという船乗りと結婚します。
しかし、父はこの結婚に大反対しました。ジェームズはアンの父から見れば、財産目当てのようにも見えたのでしょう。結婚後、アンは父の家を離れ、夫とともにバハマのニュープロビデンス島へ向かったとされます。このニュープロビデンス島は、当時の海賊たちが集まる危険地帯でした。普通の新婚生活を送るには、かなり治安が悪すぎる場所です。そこでアンが出会ったのが、キャラコ・ジャックことジョン・ラカムでした。
ラカムは派手な服装を好んだことで知られる海賊で、アンは夫ジェームズではなく、ラカムに惹かれていきます。『海賊列伝』では、ラカムがアンを自分の側へ引き入れようとし、夫ジェームズとの関係が悪化していく様子も描かれています。つまりアン・ボニーの海賊人生は、単に「海賊になりたかったから海へ出た」というより、夫との不和、ラカムとの恋愛、バハマの海賊社会という危険な環境が重なって始まったと見る方が自然です。
昼ドラと海賊映画を混ぜたような展開です。
女海賊、爆誕
アンはラカムとともに海へ出て、海賊として活動するようになります。このときアンは、男装して船に乗っていたと伝えられます。女性が海賊船にいること自体がかなり珍しい時代なので、男装は身を守るためでもあり、船内で活動するための現実的な手段だったのでしょう。そしてこの船には、もう一人の有名な女性海賊がいました。
それがメアリ・リードです。アンは最初、メアリを男性だと思っていたという逸話もあります。後にメアリも女性だと分かり、二人はラカム船団の中でも特に強烈な存在として語られるようになります。『海賊列伝』では、アンとメアリは単なる飾りではなく、実際に勇敢に戦った女性として描かれています。とくにラカム一味が捕まる場面では、男たちが十分に戦えなかった一方で、アンとメアリが最後まで抵抗したという話が有名です。
男海賊たちより女海賊コンビの方が肝が据わっていた、という伝説が残ったわけです。男性だと思っていたという逸話もあります。昼ドラみたいな人間関係の海賊船ですね。昼ドラみたいになってるこの2人は実戦でもかなり勇敢だったらしく、多くの男海賊より戦ったとも伝えられています。


海賊団、壊滅
1720年、ジョン・ラカムの海賊団はついに討伐隊に捕まります。
このとき、船員の多くは酒に酔っていた、あるいは船倉に隠れていたと伝えられています。いかにも海賊らしいと言えば海賊らしいですが、戦う場面でそれはかなりまずい。一方で、アン・ボニーとメアリ・リードは最後まで抵抗したとされます。『海賊列伝』でも、二人の女性が男たちを叱りつけるように戦ったという形で語られています。もちろん、この描写にも伝説化はあるでしょう。しかし、アンとメアリが「勇敢な女海賊コンビ」として後世に記憶された大きな理由はここにあります。
その後、ラカムは裁判にかけられ、処刑されました。アンは最後にラカムへ向かって、「男らしく戦っていれば、犬のように吊るされずに済んだのに」という趣旨の言葉を言ったと伝えられています。最後の別れの言葉があまりにも辛辣です。恋人への言葉というより、完全に戦犯へのコメントです。。。
アン・ボニーの最期は謎
アンは捕まった後、妊娠していたため処刑延期となります。しかし、その後の記録がほとんど残っていません。
アン・ボニーは捕らえられた後、裁判で有罪となります。しかし、ここで彼女は妊娠していることを主張しました。当時の法律では、妊婦をすぐに処刑することは避けられたため、アンの処刑は延期されます。同じくメアリ・リードも妊娠を理由に処刑延期となりましたが、メアリはその後、獄中で死亡したとされています。一方、アン・ボニーのその後ははっきりしません。処刑された記録が見つからないため
- 父親の力で救われた
- 別名で生き延びた
- 再婚して普通に暮らした
- どこかで静かに死亡した
など、さまざまな説があります。『海賊列伝』系の物語でも、アンはラカムの子を産んだとされますが、彼女がその後どうなったのかは明確には分かりません。つまりアン・ボニーは、海賊としては非常に有名なのに、最後だけ歴史の闇に消えてしまった人物なのです。この「最期が分からない」という点も、彼女を伝説化した大きな理由でしょう。歴史上かなり有名なのに、最後が不明なのです。「ゲームで言うとエンディングだけ未実装zyoutai☆」

なぜアン・ボニーは有名なのか?
アン・ボニーが現在まで語られる理由は、単に「女性海賊だったから」だけではありません。彼女には、物語として強すぎる要素がそろっています。
- 裕福な家庭に生まれたのに海賊になった
- 気性が荒い女性として語られた
- 夫を捨てて海賊ラカムと行動した
- 男装して海賊船に乗った
- メアリ・リードというもう一人の女海賊と並び称された
- 最後まで戦ったと伝えられる
- 妊娠によって処刑を逃れた
- その後の消息が不明
これだけ並ぶと、歴史上の人物というより、ほぼ創作キャラの設定盛り合わせです。ただし注意したいのは、アン・ボニーの人生には史実として確認しにくい部分も多いことです。とくに幼少期や性格に関する逸話は、『海賊列伝』のような後世の海賊本によって広まった部分が大きく、すべてをそのまま事実と見るのは危険です。
事実としてかなり確実なのは、ジョン・ラカム一味に関わった女性海賊として裁判にかけられ、妊娠を理由に処刑延期となり、その後の消息が不明になったという点です。つまりアン・ボニーは、「史実」と「伝説」の境界にいる女海賊なのです。某漫画に影響されて調べてみましたが元が裕福って言うのが意外すね。これは天竜、、ゲフンゲフン、、の元ネタか?
まとめ
アン・ボニーは、18世紀カリブ海に現れた実在の女性海賊です。
アイルランドに生まれ、複雑な家庭事情の中で育ち、カロライナへ移住。裕福な環境にいたにもかかわらず、ジェームズ・ボニーとの結婚、バハマへの移住、ジョン・ラカムとの出会いを経て、海賊の世界へ入っていきました。彼女はメアリ・リードとともに、海賊黄金時代を代表する女性海賊として知られています。ただし、アンの人生には伝説化された部分も多くあります。特に幼少期や性格に関する逸話は、後世の海賊本の影響が大きく、どこまでが事実かは慎重に見る必要があります。それでも、アン・ボニーが歴史に残った理由は明らかです。
男社会の海賊船で戦った女性。
恋と反逆の末に海へ出た人物。
最後まで抵抗したと語られる女海賊。
そして、処刑されたのか、生き延びたのかすら分からない謎の存在。
アン・ボニーは、まさに海賊黄金時代が生んだ「史実と伝説のあいだにいる女海賊」だったのです。
参考資料・出典
- チャールズ・ジョンソン『海賊列伝』/A General History of the Pyrates
- 英語Wikipedia「Anne Bonny」
